以下では、有向グラフ G が生成する自由圏を F(G) と書く。
U(C) を、圏 C の対象と射だけを取り出し、合成や恒等射の構造を忘れた有向グラフとする。また、
ηG:G⟶U(F(G))を、頂点を同じ対象へ、辺を長さ 1 のパスへ送る自然な写像とする。
このとき、任意の圏 C と任意のグラフ準同型
φ:G⟶U(C)に対して、次の三角形を可換にする関手
φ:F(G)⟶Cがただ一つ存在する。
GηGφ↘U(F(G))↓⏐U(φ)U(C)
Note
ここで、忘却関手
U:Cat⟶Graphは、圏 A をグラフ U(A) へ送り、関手 H:A→B をグラフ準同型
U(H):U(A)⟶U(B)へ送る。したがって、φ:F(G)→C に U を適用すると、下段の射 U(φ) が得られる。
F(G)U↓⏐U(F(G))φU(φ)C↓⏐UU(C)具体的には、U(H) は関手 H の対象と射への作用をそのまま用いて
U(H)V(x)=H(x),U(H)E(f)=H(f)と定義される。特に、
U(φ)(x)=φ(x),U(φ)(p)=φ(p)である。(なお、縦向きの U は圏やグラフのあいだの射ではなく、忘却関手を適用する操作を表す。そのため、厳密にはこの四角形は一つの圏の中の可換図式ではなく、U の対象および射への作用を表す模式図である。)
証明
グラフ準同型 φ の頂点に対する写像を φV、辺に対する写像を φE と書く。
存在
φ:F(G)→C を、対象 x に対して
φ(x)=φV(x)と定める。また、F(G) の射であるパス
p=(e1,…,en):x⟶yに対して、
φ(p)=φE(en)∘⋯∘φE(e1)と定める。φ はグラフ準同型なので辺の始点と終点を保ち、右辺の射は順に合成できる。空パス ()x に対しては
φ(()x)=idφV(x)と定める。
まず、この写像は恒等射を恒等射へ送る。また、
p=(e1,…,en):x→y,q=(f1,…,fm):y→zとすると、自由圏における合成はパスの連結なので、
q∘p=(e1,…,en,f1,…,fm)である。したがって、
φ(q∘p)=φE(fm)∘⋯∘φE(f1)∘φE(en)∘⋯∘φE(e1)=φ(q)∘φ(p)となる。よって φ は関手である。
さらに、ηG は頂点 x を x へ、辺 e を長さ 1 のパス (e) へ送るので、
φ(x)=φV(x),φ((e))=φE(e)である。したがって、頂点と辺の両方で
U(φ)∘ηG=φが成り立つ。
一意性
U(H)∘ηG=φ を満たす別の関手 H:F(G)→C があるとする。この等式から、すべての頂点 x と辺 e について
H(x)=φV(x),H((e))=φE(e)である。
任意の非空なパスは、長さ 1 のパスの合成として
(e1,…,en)=(en)∘⋯∘(e1)と書ける。H は関手なので、
H((e1,…,en))=H((en))∘⋯∘H((e1))=φE(en)∘⋯∘φE(e1)=φ((e1,…,en))となる。また、関手は恒等射を保つため、空パスに対しても
H(()x)=idφV(x)=φ(()x)である。したがって、H はすべての対象と射において φ と一致する。ゆえに H=φ であり、この関手
はただ一つである。□